インマヌエルと乞食。海外移住ブログ
今日、インマヌエルという名の青年と出会った。
ピカソの「ゲルニカ」を観るために、ソフィア王妃美術館の入り口で行列に並んでいる時だった。
お互いBoomFestivalのブレスレットをしているのに気づいて、すぐに打ち解けあった。
行列に並んでいる間、お互いのことを話しながら美術館の中に入っていった。
インマヌエル。二十歳。
短くて茶色いドレッドを頭に蓄え、顔はイタリア人らしくセクシーで、笑顔がかわいいイケメンだ。
哲学を勉強していると言っていた彼の話は、英語では少し難しかったが、真理を追求したいという好奇心に溢れているように思えた。
美術館の中では、ばらばらに行動したが、出口手前で再び彼とすれ違った。
「やぁ、また会ったね。」
「素晴らしい美術館だった。」
「じゃぁ、また。」
みたいなやり取りをして、僕らは別れた。
その後、美術館のある広場からストリートに出ると、何件ものバルが、歩道にテラス席を設けていた。
ストリートで乞食が物乞いをしていたが、特に気にしなかった。
日暮れだったので、夕飯にしようとテラス席に座る。
その時、ストリートを歩くインマヌエルの姿をまた見つけた。
「インマヌエル」と声をかけようとしたが、僕はそれを寸前で止めた。
なぜなら、彼がその場でしゃがみ込み、そこにいた乞食と何かを話し始めたからだ。
インマヌエルはその乞食と会話を終えると、小銭を渡し、ストリートの向こう側へと歩いていった。
気がつくと、乞食もいなくなっていた。
その光景をただ呆然と見ていた僕は、なんだか急に恥ずかしい気持ちになり、
と同時に、清く正しく美しくありたいという、どうしようもない欲望に駆られるのを強く感じた。
たったそれだけのことだけど、今日の出来事、インマヌエルという名の青年と出会ったということを、僕は忘れたくないと思ったので、こうして書き留めておくことにした。
2014.8/14 スペイン・マドリード